人間関係で消耗しないためにまず満たすべき5つの欲求
職場の上司とウマが合わない、取引先との関係作りがうまくいかない、家庭ではパートナーにイライラしっぱなし…。人間関係のストレスは生活の充実感を曇らせてしまいます。でも、そのストレスはもしかしたら自分自身が作り出してしまっているのかも。
『話し方も、見た目も、特別じゃなくていい 一瞬で好かれる人になる技術』(原田康子著、アチーブメント出版刊)は、周囲の人と良好な人間関係を築く力は性格や才能ではなく、技術だということを教えてくれます。ちょっとした意識や考え方で人間関係は驚くほど変わるもの。その秘訣はどこにあるのでしょうか。今回は著者の原田康子さんにお話をうかがいました。
■幸福を形づくる5つの欲求を満たす
――『話し方も、見た目も、特別じゃなくていい 一瞬で好かれる人になる技術』では、対人関係が人生の充実度に占める大きさと、対人関係を良好にするための考え方や行動について書かれています。人間関係の構築はその人のキャラクターが左右すると考えられがちですが、そうではなく人間関係を決めるのは「技術」だとしている点がユニークですね。
原田:他人にどう思われるかを気にしたことがない人はほとんどいないと思います。実際、「日経ウーマン」の調査でも働く女性の85%が人間関係に悩んだ経験があると答えています(※1)。また、選択理論心理学の分野でも、人が感じる不幸の80%は身近な人との人間関係が原因だとされています。
これらの数字が示しているのは、人間関係がいかに人生を左右するかということと、人間関係は性格や運によって決まるわけではなく、後天的に身につけることができる技術で決まるということだと考えらえます。
※1:日経xwoman doorsによる調査(https://woman.nikkei.com/atcl/doors/feature/19/062700154/071200001/)
――人間関係が人生の充実度や幸福度を左右するのは実感として理解できます。
原田:私自身、離婚経験がありますし、両親との関係や仕事での人間関係など、人生の節目で数えきれないくらい人間関係の失敗を経験してきました。だからこそ、単純に人に好かれるということだけではなく、どうすれば自分を大切にしながら周りの人といい関係を築けるのかという、多くの人が悩んでいることの答えを技術として伝えていきたいと考えてこの本を書きました。
――「人から好かれる人は、自分を大切にしている人」というのが大きなメッセージとなっています。自分を大切にするとはどういうことを指すのでしょうか。
原田:自分を大切にするというのは、言い換えると自分をまず幸せにしてあげるということです。「幸せ」というと抽象的で手が届かないもののように思えるかもしれませんが、実はそんなことはなくて、人間が持っている5つの基本的欲求が満たされている状態であれば、人は幸せを感じられます。
具体的には「生存の欲求(身体の安全と健康に関する欲求)」、「愛・所属の欲求(人とのつながりを求める欲求)」、「力の欲求(認められたい、成長したい、何かを達成 したいという欲求)」、「自由の欲求(自分の意思で選び、自分の道を歩むことへの欲求)」、「楽しみの欲求(新しいことを知り、学ぶことへの欲求)」の5つがバランスよく満たされた状態が幸福な状態で、これは自分自身で満たすことができるものなので、まずは自分で自分を幸せにしようというのが、この本で伝えたいことの一つです。
――原田さんご自身、人間関係がうまくいっていなかった時期があるとおっしゃっていましたが、そういった時期はこの欲求が満たせていなかったという実感がおありですか?
原田:そうですね。仕事が忙しいあまりに体を壊してしまったり、夫との時間よりも仕事を優先してしまったりといったことはありました。仕事に没頭することで経済的には豊かになりましたし、仕事で成功することで手に入ったものもあります。だから「力の欲求」は満たされていたとは思うのですが、その他の欲求とのバランスが悪かったなとは思います。
――そうした状態の中で、どのようなことがきっかけでご自身が変わったと感じられたのでしょうか。
原田:そうですね。やはり大切なもの、大切な人との時間を先に確保するようになって変わったと思います。今の夫と結婚して10年経つのですが、お互いに仕事をしていて忙しいのは変わらないので、まず夫との時間を確保してから他のことに使う時間を考えるようにしています。そうしてからは「愛・所属の欲求」も満たされるようになってきたと感じます。
――普段の生活では「緊急ではないけど重要なもの」がたくさんあります。そういうものが目の前に次々と現れて、その対処に忙殺されてしまうと、自分の人生を生きていない感覚に陥りやすいような気がします。「忙しいのは物事がうまくいっている証拠」だと勘違いしてしまうんですよね。
原田:本当にそうだと思います。私も忙しくていつもバタバタしているのが成功だと思っていました。重要なこともそうでないことも、誰かの力を借りてやればいいことも全部自分でやっていましたから。でも、それが続くと心に余白がなくなって人間関係にゆがみが出やすいんですよ。
――また、相手を思いやることの大切さも、改めて感じました。「無意識に思いやる」という項が印象的だったのですが、すごく難しいとも思いました。無意識に相手を思いやるというのはどういうことで、どうしたらできるのかについて教えていただきたいです。
原田:まず、「相手を思いやる」とはどういうことかというと「相手の幸せを心から願うこと」だと思うんです。その人がどんな時に喜んでいるか、何が好きか、笑顔でいる時はどんな時かといったことは人それぞれ違います。家族の話をすると笑顔になる人もいれば、仕事の話をうれしそうにする人もいます。そういうことをよく見ておいて、ちょっとした言葉がけをしてみると相手がうれしそうに話してくれたりします。ですから、周りにいる人のことをよく観察してみるというのが一つの方法かなと思います。
(後編につづく)
