だれかに話したくなる本の話

最もシンプルな書籍名を勝手に選定! 「日本一“タイトルが短い”本」を調査してみた

正式には**『ん――日本語最後の謎に挑む』**というタイトルになっている。
他にも一見すると、「一文字タイトル」ではあるが、副題がついている書籍がいくつもあった。副題までが書籍のタイトルであるとするならば、最短のタイトルとして認めるわけにはいかない。

それでも、純粋にひらがな一文字のタイトルはあった。

**『あ』(大槻あかね著、福音館書店刊)、『き』(斎藤光一著、フレーベル館刊)、『ひ』(五味太郎著、絵本館刊)**などだ。

低年齢向けの図鑑や絵本は、やはり対象読者の年齢に合わせてひらがなのタイトルをつけることが多いようだ。

やはり、ひらがなはシンプルでより短い印象を受けるが、せっかくなので調査を続けた。

アルファベットのタイトルは、近年の作品に多い傾向がある。

**『A』(中村文則著、河出書房新社刊)、『F』(坂入慎一著、メディアワークス刊)、『i』(西加奈子著、ポプラ社刊)**などが見つかった。

数字や記号のタイトルも探してみると見つかった。**『2』(野崎まど著、アスキーメディアワークス刊)、『5』(佐藤正午著、角川書店刊)、『!』(二宮敦人著、アルファポリス刊)**などだ。

二宮氏の『!』はホラー小説で、読みは「ビックリマーク」となっている。
ちなみにシリーズ化されており、二作目は『!!』、三作目は『!!!』(ともにアルファポリス刊)となっている。

そんな中、最も画数が少なく、文字自体がシンプルで、副題もついていない「これぞ最短のタイトル」という一冊を見つけた。

それが、小説家・原田宗典氏によるエッセイ**『し』(幻冬舎刊)**である。

本書は、著者が辞書を引いている最中に「ひらがな一文字で一番たくさんの意味を持っているのはどの文字か」と言う疑問から、「し」に辿り着き、「師」「歯」「死」「誌」など15個の「し」にちなんだことを綴ったエッセイだ。

表紙を見ても、このシンプルさは群を抜いている。背表紙だけを見たら、思わず印刷ミスなのではないかと思うかもしれない。
本書を、「日本一タイトルが短い本」と認めていいだろう。

■一文字タイトルで「五十音」はつくれるか?

さて、「日本一タイトルの短い本」の調査はこれで片付いたが、もう一歩踏み込んだ調査をしてみることにした。

それは、「書籍タイトルだけで五十音はつくれるか」というものだ。

ひらがなのタイトルだけでは心許ないので、漢字・ひらがな・カタカナを織り交ぜて調べた。
複数の「一文字」があったものは、ひろがなを優先。ひらがながなければ、カタカナ、漢字の順に探してみた。

だが、残念ながら五十音はつくれなかった。
「あ」行から始めて、いきなり「う」「え」「お」が見つからなかったのである。しかも、さいごまで調べてみても、五十音の半分も埋まらなかった。

それでは、もう少し文字数が少ない「アルファベット27文字」を揃えられないだろうか?

こちらは半分以上埋まったが、「B」「E」「G」など、十文字ほどが見つからなかった。

最後に**「数字で0から9まで揃うか?」**にも挑んでみたが、残念ながら「1」「3」「4」が欠番となった。

ただ、私が探せなかっただけで、もしかしたらあるかもしれない。もし知っていたらぜひ教えてほしい。

世の中、これだけ本があっても難しいものである。
もし、今後「一文字タイトル」で書籍を上梓しようとしている作家や編集者の方々には、埋まっていない文字を使ってもらいたいものだ。

(ライター:大村佑介)

この記事のライター

大村佑介

大村佑介

1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

このライターの他の記事