だれかに話したくなる本の話

決断力に自信がない人は「考える」よりも「リサーチ」が成功への近道

何かを「決断」して「行動」を起こすときに、不安を感じたり失敗することを考えたりしてしまう人は多いだろう。仕事においての大きな決断や、人生を決める行動となれば、その気持ちは大きくなる。

しかし、いくら悩んでいる時間を長くしても、物事は前に進まず、結果は出ないままだ。
早く決断し、早く行動に移せば、それだけ結果も早く出る。もし、失敗や間違いがあったとしても早いうちなら軌道修正もでき、貴重な時間を浪費せずにすむ。

『3秒決断思考 やるか、すぐやるか。』(集英社刊)を上梓した金川顕教氏は、偏差値35から二浪の末に大学合格、在学中に難関資格の公認会計士の資格を取得、世界的な会計事務所のグループ会社勤務を経て起業。今や年商10億円の事業を手がける経営者となっている。金川氏が大きな結果を出してきた裏には、「3秒」で決断し、「すぐやる」という信条があったという。

そんな金川氏に「決断」と「行動」に対する考え方についてお話を伺った。インタビュー前編では「3秒」で決断する秘訣と、決断の先にある「失敗」の乗り越え方についてのお話を聞いた。後編となる今回は、決断から行動へ移すためのポイントを聞いていく。

(取材・文:大村佑介)

■「考える」よりも「リサーチ」することの大切さ

――金川さんが「これだけは時間をかけて考えた」という経験はありますか? また、そのときはどのようなプロセスで決断から行動に至ったのでしょうか?

金川:僕は二浪して後期試験で大学に合格したのですが、そのとき「絶対に大学で何かしらの結果を出す」という強い思いがあったんです。
ただ、その「何かしらの結果」というのが、合格した当時はぼんやりしたものだったんですよね。なので、その「何かしらの結果」というのは具体的に何だろうと考えました。

そのとき、直感的に頭に思い浮かんだのは「海外留学をして英語が話せるようになる」「起業する」「資格を取る」の三つです。そのどれをやるかというのは、けっこう考えました。
ただ、考えたというよりはリサーチしたという感じです。考えてもわからないので、インターネットや本で調べたんです。

先のことが漠然としていて、それで結果が出せるという明確な因果関係もなかった「海外留学をして英語が話せるようになる」という選択肢はすぐに消えました。 そこで、結果を出すことに一番結びつきそうな資格の取得に絞りました。起業するにも資格は強みになると思ったので。

次に、中途半端な結果にしないために難関資格といわれるものを取ろうと思い、資格についていろいろリサーチしました。候補にあがったのは、国家公務員一種や弁護士や会計士などのいくつかの資格です。

国家公務員一種は専門職という感じではなかったので、法律系か経済系、つまり弁護士か会計士の二つについて、さらにリサーチしていきました。
将来的に起業をしたいという目標もあったので、感覚的に「法律よりも数字だ」と思って、会計士を選んだんです。

思い立ってからここまでの結論を出すのに二週間くらいかけましたけれど、その期間も考えたというよりも徹底的にリサーチをしたという感じです。
決断できず、行動できない人の多くは、考えることに時間を費やしていると思うのですが、その時間を「リサーチ」という行動に使って「すぐやる」ことが大事だと思います。

■決断を悩むのは行動したい証拠である

――金川さんが「この決断の早さはすごい」と思った人はいますか?

金川:母親です。僕が中学生の頃に両親は離婚したんですが、母は、もともと英語を喋れるようになりたいという思いがあったんです。学生の頃に海外に行くことを希望していたのですが、親に許してもらえなくて、それでもいつかは行きたいと考えていたみたいです。

離婚した頃、母は30代半ばだったのですが、離婚してからすぐに「海外に住む」と言って、日本を飛び出して、カナダ、フランス、ドイツ、オーストラリアに住んで、英語がペラペラになって帰ってきたんですよ。
そんな母親を間近で見ていたので、すぐ決断してすぐ行動する人は早く結果が出る、ということがわかりました。行動を決めたら覚悟が決まって、行動した後は目の前のことをやるしかない、ということを最初に教えてくれたのは母親なんだと思います。

あとは、経営者は基本的に決断が早いと思います。
余計なことを考えるよりも「とりあえずやってみましょう」とか「とりあえず打ち合わせしましょう」という感じで行動が早くて、常に前へ前へという進め方をしますよね。

――経営者の方々からは「とりあえず」というフレーズがよく出てきますか。

金川:事業はやらないと見えない部分が多々あるので、動いてみて、実際にどうなのかというところで進めますよね。打ち合わせだけを重ねても全然見えてこないので、「とりあえず」動いてみるという人は多いです。

たとえば、会社勤めをしている人でも「資料を作ろう」と思ったときに、どんな感じで作るかをずっと考えている人と、とりあえず叩き台を作って上司に見せる人と、どちらが結果出るかと言ったら、「とりあえず」で決断を早くして前に進んでいる人ですよね?
そうであるなら、やっぱり「すぐやる」ほうがいいと思うんです。

――最後に、決断ができずに悩んでいる人、心の底からやりたいことが見つかっていない人に、メッセージをお願いいたします。

金川:決断ができずに悩むということは、行動したいことの証拠だと思っています。
たとえば、「転職しようかな、どうしようかな」という人は、たぶん転職したいんですよ。「資格試験を受けようかな」と悩んでいる人だったら、今の自分では長所がないから、強みをつけたいという思いがあるはずです。

なので、決断のフェーズにいるということは「やりたい」ことの証拠だとしっかりと認識して、「できる・できない」ではなくて、「やるか・すぐやるか」というところで動いてみるといいと思います。それが3日後に動くというのであれば、その間に「考える」のではなくて、どうしたらうまくいくのかを「リサーチ」するのがいいんじゃないかなと思います。

また、心の底からやりたいことが見つかっていない人には、真面目な人が多いと思っていて、「仕事そのものを好きにならないといけない」というところで悩んでいる人が多いのだと思います。

僕も仕事を好きにならないとうまくいかない、とは思っています。仕事が好きな人と、好きではない人で、どちらが結果を出せるかと言ったら、やはり仕事は好きにならないといけないと。でも、仕事を好きになるには、直接的でも間接的でもいいと思っています。

たとえば、仕事が終わったら家族と幸せな時間が過ごせる、ということが心の底からやりたいことなのだったら、仕事がなくなってお金が稼げなくなったら、家族との幸せな時間も過ごせなくなりますよね。そうやって、仕事を間接的にプライベートにくっつけるといいんじゃないかな。

どちらの悩みを持っている人でも、覚悟が決まって「これをやる」という気持ちが固まれば、すぐに行動できるし、悩むことはなくなります。だから「やりたいか・やりたくないか」で直感的に決めて、すぐ行動しましょう。間違っていたら、その時にまた軌道修正すればいいだけですから。

(了)

3秒決断思考 やるか、すぐやるか。

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この記事のライター

大村佑介

大村佑介

1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

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