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稼げる男は「ビニール傘」をため込まない? お金持ちが心がけるスマートな習慣

「お金がなくても幸せは手に入れられる」というのはひとつの真実だ。しかし、本音を言えば誰だって「お金持ちになりたい」という欲求はあるだろう。

仕事で成功して大きく稼ぐ人たちは、能力が高いだけではない。お金に恵まれ続ける人にはある共通点があるという。それはお金持ちでなくても身につけられるものだ。

数々の成功者やお金持ちに取材をしてきたライターの菅原圭氏は、著書 『お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣』(菅原圭著、河出書房新社刊)で、お金持ちになる人は**「お金にキビシイという以上に、人としてキチンとしていて、振舞いや生活態度にゆるみやだらしないところがない」**という共通点を見出している。

お金持ちの振舞いや生活態度は「ちょっとした習慣」としてあらわれる。その習慣を身につければ、お金持ちに近づけるかもしれない。
では、お金持ちの「ちょっとした習慣」とはどのようなものなのか。本書からいくつか紹介してみよう。

■お金持ちはスマートに「ビニール傘」を手放す

著者が、ある成功者と会った時のことだ。
急に激しい雨が降ってきた中、相手はタクシーが拾えず、ビニール傘を買って歩いてきたという。

店を出るときになると、雨はすっかり上がっていた。
すると、その成功者はカフェの店主に「これ、お客さんが雨に遭ったときに使えないかな」と話しかけた。店主は喜んでその申し出に応じたという。

いらないものは手元に置かない。しかし、手放すなら、それが最後まで“生きる”形にする。
ビニール傘をため込まないことは誰にでもできる。しかし、お金持ちには、その上をいくスマートな心がけが自然と備わっているのだ。

■お金持ちはスマートな「贈り物」をする

成功者は贈り物をするときもスマートであり、その根底には、高い精神性がある。
著者の知人で、抜群のセンスを持つある法律家のプレゼントにはそのことがあらわれている。

その成功者はモノを贈る場合でも、必ず、お茶や食事を一緒にし、ゆっくりとした時間を共に過ごす。著者の誕生日にも一緒に食事をする誘いがあったので会いに行き、「お忙しいのに恐縮してしまいます」と伝えると、相手はこう言ったという。

「たしかに忙しいことは忙しいんです。しかし私は、大事な人には人生で最も大事なものを贈ると決めているんですね。時間はかけがえのないものでしょう。それをお贈りすることで、私も最高の満足を感じられます」

成功者やお金持ちは、お金以上に「時間」を大事にする。その価値観がちょっとした習慣として感じ取れるエピソードだ。

■お金持ちはスマートに「衝動買い」を切り替える

成功者やお金持ちの買い物は、迷いやためらいがなく、即決断。傍で見ていてもスマートで潔いという。しかし、そんな人たちも「衝動買い」で失敗することはあるようだ。

「趣味はショッピング」というあるお金持ちは、100万円以上する高級ブランドのジャケットを衝動買いしてしまったという。普通なら、「つい買ってしまった」「次は気をつけなきゃ」と猛反省してクヨクヨするところだろう。

だが、成功者やお金持ちは切り替えが早い。**「もっと仕事を成長させて、このくらいの買い物をしてもカード決済が気にならなくなるよう頑張ろう!」**と、衝動買いの失敗を、前に進むエネルギーに変えてしまうのだ。

お金を使うことに迷いがないこと。失敗しても前向きでいられること。これもお金持ちが備えているお金に対しての考え方の習慣だと言えるだろう。

◇  ◇  ◇

ひとつひとつは些細なことかもしれないが、こうしたさりげない行動ができることが仕事で成功し、お金を引き寄せる「習慣」なのだろう。 目先のお金を追い求めるのではなく、こうした精神性を身につけるほうが、お金持ちへの近道なのかもしれない。

(ライター:大村 佑介)

お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣

お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣

「遅刻をしない」「スマホに振り回されない」「財布を整理する」「部屋をきれいに保つ」「いつも上機嫌でいる」…
お金持ちが、お金より大切にしている習慣

この記事のライター

大村佑介

大村佑介

1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

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