だれかに話したくなる本の話

佐藤優が教える“本を自分の血肉とするための読書術”

これからの時代を生き抜くために必要なものの一つと言われる「教養」。それを得る手段の一つとしてあげられるのが読書だ。
しかし、ただ漫然と本を選び、読んでいても教養を深めることはできない。
読書の質を高めるためにはいったいどうすればいいのだろうか?

元外交官で作家の佐藤優氏が執筆した『人をつくる読書術』(青春出版社刊)は、本の内容を自分の血肉とするための読み方を伝授してくれる一冊だ。
佐藤氏は、教養とは「想定外の出来事に適切に対処する力」と説明する。その力を得るための読書術について触れていこう。

幅広い知識や柔軟な思考を保つためには、通俗本だけでなく、さまざまなジャンルの本をバランスよく読む必要がある。
ミステリーは思考力や推理力を身につけるうえで良い分野だし、文系の人間が理系の知識や思考を学ぶうえでSF小説も有効だ。佐藤氏は、ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』など、古典と呼ばれるくらい良質な名作は、科学理論を基礎としながら、その可能性豊かな想像力でさらに膨らませる内容になっていると指摘する。

こうしたミステリーやSF小説は楽しんで読めるというのも大きな特徴だろう。
では、専門書とエンタメ本は、どのくらいの割合で読めばいいのか。

佐藤氏は、一般のビジネスパーソンの場合は、仕事に関する専門書を読む時間が3割~4割、本や小説などエンターテインメント性の高い本が6割~7割がちょうどいいと述べる。佐藤氏の場合、通俗本や小説などを読む時間も多く、幅広い読書を心がけることで、思考が硬直化するのを防ぐと同時に、新たな好奇心や興味をかき立てることができるという。

もちろん、漫画を読むのも良い。佐藤氏がすすめるのが、春秋戦国時代の中国を描いた『キングダム』だ。この作品で描かれている戦いとサバイバルは、現代のグローバリゼーションが進んだ弱肉強食の世界を連想させるという。

仕事や物事に対して筋を通すには、思索によって状況を解釈し、自分なりに価値判断ができなければならない。佐藤氏が、それを可能にしたのが獄中での読書体験であり、中学生以降の読書体験や出会った人たちの感化であったという。

本書では各章の終わりに佐藤氏のすすめる本も記載されているので、何を読んでいいか迷っている方は参考になる。読書を通して、教養、人間力を高めてみてはどうだろう。

(新刊JP編集部)

人をつくる読書術 (青春新書インテリジェンス)

人をつくる読書術 (青春新書インテリジェンス)

“本を読む人”だけが得られることとは?

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