だれかに話したくなる本の話

“必要ない人”から脱するための必須スキルとは ベストセラー『1分で話せ』続編が登場

Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一氏が執筆した『1分で話せ』(SBクリエイティブ刊)は、ビジネス実用ジャンルにおいて2018年を代表する一冊だった。

分かりやすく伝える方法を教える『1分で話せ』は、現在までに32万部超を発行。ビジネス書大賞2019最終候補にノミネート、ビジネス書グランプリ2019で2位にランクインするなど大きな話題を呼んだ。

その続編となる伊藤氏の新刊『0秒で動け』(SBクリエイティブ刊)が8月22日に発売。それに先駆けて80ページにわたる「試読版」が出版元のSBクリエイティブのウェブサイトで公開されている。

■すぐ動くことできる人こそ、生き残っていくことができる

タイトルの「0秒で動け」とは一体どういうことか?

現代において必須とされているのが「行動力」、もっと言えば「スピード」だ。変化が速いこの時代において、今、流行しているものはすでに古いものであり、そこに乗ろうと「考えている時間」そのものがロスになってしまう。

しかし、この「すぐ動く」「早く動く」というのが難しい。やる気やモチベーションがあっても、「どう動いていいのかわからない」と、その一歩を踏み出せなくなってしまう。

「やる気があるのに動けない」、この一見矛盾した状態を実際に経験したことがある人は多いはずだ。確かにやる気があるなら動けばいい。しかし、動きかたが分からない。動かないと「停滞した人間」とみなされ、その場から不要とされる。こうして悪循環から抜け出せなくなるのだ。

●動けないのは「結論」がないから

では「動く人間」になるにはどうすればいいのか。
前述のようにやる気に委ねても解決しない。著者が必要だと考えるのは「頭出しの結論」だ。

例えばある企画の集客を考えることになったとしよう。「この方法は大変」「あの方法は予算が」などとあれこれ迷っていると、それだけで時間は過ぎていく。

すぐに動ける人は、自分なりに仮説を考えた上で「こういう方向なら上手くいくだろう」と結論づけ、まずはやってみようとする。もちろん、すぐに動いた結果、失敗することもあるだろう。しかし、失敗しても速く動いた分、挽回する時間はあるはずだ。

関係者がたくさんいるなら、結論を言葉に出してみるだけでも効果がある。そうすれば周囲からの見られ方も変わるだろう。まずは、「結論」を出せるかどうか。これが一つ大きなポイントとなる。

●「結論」と「根拠」のピラミッドストラクチャー

前著『1分で話せ』でポイントになったのは、「結論」を先に出し、その下に「根拠」を3つ程度並べるというピラミッドストラクチャーだった。

この構造は本書でも登場する。

作り方は大きく分けて2つ。まずは、さまざまな仮説を並べつつ、「だからどうなるのか」という頭出しの結論を出すという方法。ロジカルシンキングでよく聞く「So what?(だから何)」から自分なりの結論を導き出すのが一つである。

もう一つは直感で結論を出し、そのうえで根拠を探すというケースだ。直感で結論を出すのだが、周囲の協力がなかなか得られずに、結局動けないという人はこの考え方を実践してみてほしい。

自分が率先しても動いても、他者を「動かす」ことができずに上手くいかないこともある。「結論」と「根拠」はセットであり、自分の行動に説得力を増すための武器となる。その意味でも、大事にしたい考え方だろう。

 ◇

「わかってはいるけれど動けない」という状況から脱却するために精神論は必要ないということは本書を読めばわかるはずだ。
「動く」とはスキルである。そのスキルをいかに身に付けるかがポイントとなる。

「試読版」では第1章の、すぐに行動するために必要となる思考のスキルや、直感を仮説にする方法、仮説力を鍛える習慣などが公開されており、そのほかに人を動かすスキルや自分をブレさせないための方法が解説されている。
ベストセラーの続編だけあって、非常に分かりやすく書かれており、ケーススタディも豊富。これからの時代に求められるビジネスパーソンになるための教科書的な一冊に仕上がっている。

(新刊JP編集部)

■『0秒で動け 「わかってはいるけど動けない」人のための』試読版ページ
https://www.sbcr.jp/product/4815600242/

0秒で動け

0秒で動け

考える前に「結論」は出ている。

この記事のライター

新刊JP編集部

新刊JP編集部

新刊JP編集部
Twitter : @sinkanjp
Facebook : sinkanjp

このライターの他の記事