だれかに話したくなる本の話

落ち込んだ心が軽くなる kemioの言葉が深い

クリエイターとして10代の若者から支持を集めるkemio(けみお)さん。
YouTuberやツイッターなどSNSのフォロワーは実に300万人。今最も注目を集めるインフルエンサーの一人だろう。

デジタル時代の寵児ともいえるkemioさんだが、アナログメディアでの情報発信もしている。今年4月に出版され、3ヶ月で15万部を超えるなど、2019年の出版界に大きなインパクトを残した一冊『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』(KADOKAWA刊)は、kemioさんの行動や情報発信の底にある考え方が凝縮されている。

■友達や居場所なんて探さなくてもいい

kemioさんのここまでの人生は壮絶だ。両親はkemioさんが2歳の時に他界。祖父母に育てられるが、小学校ではいじめを受けた。

学校に居場所がなかった当時、「友達をつくりなさい」「自分の居場所を見つけなさい」という周囲の言葉に苦しんだというkemioさん。

居場所を絶対に見つけなきゃって脳みそになってると、我慢してでも今いる場所に収まろうとしちゃうでしょ?(中略)自分を殺して見つけた居場所って、最終的に自分を苦しめる。(P102より引用)

今いる場所が辛いなら、無理して我慢することはない。無理に友達を作ることはない。その代わり、今いる場所から一歩外に出てみよう。kemioさんにとって、それが高校生の時に出会った原宿という街だったという。

誰にでも等身大でいられる、居心地のいい場所は必ずある。その場所にうまく出会えるかはわからないが、今いる場所で自分を殺し、息をひそめているなら、ともかく探してみよう。kemioさんの言葉からはそんなメッセージを読み取れる。

■すぐ容量パンパンになるから苦手な人のデータはどんどん削除

まわりにいる人の中には、好きになれる人もいれば、うっとうしい人も、苦手な人も、はっきりいって嫌いな人もいる。一緒にいて嫌な気持ちになる人もいる。

そんな人とどうかかわっていくかは、けっこう大事な問題だ。kemioさん流の解決法は「苦手な人の話を保存してる容量はなし」。スルーしてしまえばいい、とのこと。

kemioさんが苦手なのは、自分と仲がいい人の悪口を言う人や、ぐちばかり言う人。好き嫌いはあるにしても、味方を作るために他人の悪口を言う人は嫌なのだそう。

嫌いをインフルエンスされるのって気分がよくないし、ほんとそのインフルエンス、ワクチン必要なんですけどー。(P85より引用)

■私の広辞苑に才能って言葉はない

才能という言葉は圧倒的で、残酷だ。この言葉の前に、やりたいことをやる勇気が出なかったり、やっていたことを諦めてしまったりする。

でも、やりたいことをやるのも、やりたいことをやらないのも、「才能」を言い訳にするのはもったいない。何かをやる理由は「やりたいから」。何かをやらない理由は「やりたくないから」。それだけでいい。

もし、追いかけたい夢があるなら、「才能あるかな」なんて考えずにやってみればいい。kemioさんは、夢へのショートカットは、才能ではなく「夢を口に出すこと」だとしている。「レディー・ガガに会う」「ランウェイ歩く」「CD出す」、すべてkemioさんは口に出して、そして実現させた。もちろん、「そんなに無理に決まってる」とバカにしてくる人もいる。

でも、そんな人は

全然見返すので、ちょっとお時間頂いていいですか?(P159より引用)

 ◇

人間関係、恋愛、人生、夢…
誰もが経験するこんなトピックについて、kemioさんは本書で自分の言葉で考えを述べている。

落ち込んでいる時、自信を失っている時、嫌なことがあった時に背中を押してくれる言葉がきっと見つかるはずだ。

(新刊JP編集部)

ウチら棺桶まで永遠のランウェイ

ウチら棺桶まで永遠のランウェイ

すべての言葉がかっこいい…!

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