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第3回【エコカー・エコ家電の減税目的は?】

 第3回目となる今回のテーマは【エコカー・エコ家電の減税目的は?】
 地デジ化などを通してよく耳にする「エコ家電」「エコポイント制度」や各自動車メーカーがプッシュする「エコカー」。

 何でこんなに政策的にプッシュされているか、考えていきましょう。
 ちなみに、どうでもいいですけど、「地デ○カ」ってなんでスクール水着みたいなものを着ているんでしょうかね…。

  ◇     ◇     ◇

【景気は国民がどんどん消費活動を行わないと回復しない!】

 12月といえばボーナスですよね!
 さらに年末ということもあってか、最寄り駅近くにある焼肉屋は毎日盛況です。

 極端に言うと、実はこうした年末の光景が恒常的に見られない限り、景気は回復しません。つまり、景気を良くするには、国民がどんどんお金を使い、消費の量を増やすことが重要です。(詳しくは第2回で解説しているので、そちらを参考のこと!)

 消費の量が増えるということは、お金がまわるということです。
 そして、支出されたお金は別の誰かの所得となり…というふうにグルグルとまわる、いわば「金は天下の回り物」というわけです。

 エコカー減税やエコポイント制度は、この「消費の量をあげる」ということと大いに関係があります。

 エコカー減税とは、環境に配慮した自動車を購入すれば税金が軽くなるという制度のこと(→Honda/エコカー早分かり講座)。

 また、エコポイントとは「グリーン家電」という環境に優しい家電(現在は「エアコン」「冷蔵庫」「地上デジタル放送対応テレビ」の3商品が対象)を購入することでポイントが貯められ、様々な商品と交換できるというシステムです(→エコポイント公式ウェブページ

 【エコカー減税が景気を回復する一助になる!?】

 ここで連載企画第1回のおさらいをします。
 政府が不景気のときに実施する景気対策には2種類あったのを覚えていますか?

 そう、「金融対策」と「財政対策」です。

 この内の「財政対策」をさらに細分化すると、2種類に分けることができます。

 1、公共事業や新しい公務員の雇用など、政府が払ったお金が直接的にGDP拡大に貢献するケース
 2、失業保険や年金など、GDP拡大とは関係なく家計が受け取るケース。これを所得移転といいます。


 2に当てはまるケースは、例えば「2兆円のばら撒き」とも揶揄された「定額給付金」があります。しかし、原理的に政府から国民に所得が移されただけの「定額給付金」ですから、「国内の支出の合計」であるGDPは増えません。

 この考えでいけば、税金を納める額が減るだけの「減税」も所得移転に入ります。

 ですが、先ほども述べたように景気回復にはGDP拡大が重要!

 そのため、同じ「減税」でも「消費を生む減税」が必要になります。
 この「エコカー減税」や「エコポイント制度」は、消費が実行されなければ意味がなく、所得移転も実施されません。なので、減税を通してお金の負担分を減らし、消費量をあげるという意味では、とてもすぐれた景気対策なのです。

 実際、エコカー減税で、09年8月の新車販売台数は13ヶ月ぶりに対前年同月比でプラスでした。それまで、凄まじいほどの落ち込みようでしたが、ETC週末1000円と合わせて、息を吹き返してきたようです。

 不景気だとお金を使わなくなりがちです。しかし、景気を回復するためには私たちがお金を使わないといけない。これは重大なジレンマですね…。

 次回は最終回「日本国を1つの企業として考えたとき、本当に倒産寸前なの?」です。12月25日配信予定! お楽しみに。

 (新刊JP編集部/金井元貴)  




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