だれかに話したくなる本の話

雑務にこそチャンスあり。仕事の向き合い方が変わる佐久間宣行のビジネス書

テレビ東京社員時代に『ゴッドタン』『あちこちオードリー』『ピラメキーノ』など次々に番組をヒットさせ、2019年4月からはラジオ番組『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティを担当。今最も話題のヒットメーカーといえば佐久間宣行さんだ。

そんな佐久間さんもテレビ東京入社間もない頃は、仕事の壁に苦しんだという。
自分はサラリーマンが得意ではない。納得できるまで行動できない性格で、指示をすんなり聞けず、初動が遅くなり、大声で怒られる…。佐久間さんと当時のテレビ業界の体質が合っていなかったのだ。

そんな苦境を乗り越えるきっかけとなったのが仕事に対する向き合い方の変化だった。
10万部を突破したビジネス書『佐久間宣行のずるい仕事術』(ダイヤモンド社刊)に書かれているのは、「上手く立ち回って消耗せずに自分のやりたいことを実現する」ための仕事術だ。

では、実際に佐久間さんはどんなことをしてきたのだろうか。少し本書の中をのぞいてみよう。

■「雑務」をチャンスに変える

入社1年目の佐久間さんに任された仕事はAD。「つまらないうえに激務」「だれにでもできる仕事」そう思いこんでいたという。そんな中、撮影で小道具として使う「サッカー部の女子マネージャーの手づくり弁当」を用意しろという雑用を任されることになる。

テンションガタ落ちの佐久間さんだったが、居酒屋の厨房を借り、仕事終わりの夜中に弁当をつくりはじめると、だんだん弁当づくりにのめり込む。サッカーボールを模したおにぎり、ウィンナーはタコ、玉子焼きもキレイに。そんなこだわりの弁当箱を持って現場入りすると、監督は台本を変えて、佐久間さんの作った弁当をストーリーのメインにしたいと言ったという。

少しの工夫が大きな変化をもたらすことがある。佐久間さんは「仕事の楽しさ」を味わったはじめての瞬間としてこのエピソードを取り上げている。

退屈な仕事でも、自分で考え、工夫をこらし、まわりをよろこばせることができたなら、それは立派な「自分にしかできない仕事」になる。(p.18より)

日々雑用ばかりでつまらないと思っているなら、仕事への向き合い方を少し変えてみよう。そこで生まれた工夫は誰かが見てくれている。

■「社内初」はローリスクでハイリターン

佐久間さんの代表的な番組ともいえる『ゴッドタン』は、実は最初からDVD販売ありきで番組をつくっていたという。

テレビ東京としては初の試みだったが、当時お笑いブームがはじまりつつあり、個人がDVDを買うという文化が浸透してきたこともあり、佐久間さんはDVDが売れると仮説を立てて社内「第1号」を目指した。その結果、DVDが大きなセールスを記録。「DVD政策と言えば佐久間」と認識されるようになったという。

社内で初めての試みに挑むことは、ローリスク・ハイリターンだ。もちろん試行錯誤することも多いが、過度な期待をかけられないし、失敗しても「やっぱりね」と笑われるくらい。そして、成功すると「第一人者」になることができる。そして、そこで得られた知見は、自分ひとりで独占することができるのだ。

まずは小さなチャレンジでいい。自分でやれる「初」がないか探してみよう。(p.47より)

 ◇

真正面からぶつかるのではなく、「ずるく」仕事をする。そうすれば、気持ちも軽くなり、仕事もどんどん面白くなっていく。
会社に染まりきらないことも大切だ。「人間関係」の章では、「会社の人間関係が人生のすべてになっているとしたら、それは危険信号だ」(p.83より)と述べている。

本書を読んでいくうちに自分の働き方を見直すことになるだろう。そしてもっと「ずるく」ありたいと思うかもしれない。そうであれば、まずは佐久間さんの仕事術を一つまねしてみよう。少しずつ仕事に対する向き合い方が変わっていくはずだ。

(新刊JP編集部)

佐久間宣行のずるい仕事術

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