だれかに話したくなる本の話

「ひとりひとりが経営者」超優良企業を支える経営理念がすごい

栄枯盛衰がビジネスの掟。
業績好調だった企業がちょっとしたつまづきから倒産寸前にまで落ち込むこともあれば、その逆もある。

そんなビジネスの世界で、堅実に着実に業績を伸ばし続ける、安定成長企業ではどのような経営が行われているのだろうか。
大阪に本社を置く建設会社、進和建設工業は年商43億ほどの中堅企業。浮き沈みの大きな建設業界で無借金経営を続けるなど、堅調な発展を見せる優良企業である。

今回は『中堅建設会社が実践する 「家計簿経営」』(プレジデント社刊)の著者で同社社長の西田芳明氏にインタビュー。成功を支える自身の経営手法と哲学について語っていただいた。

――『中堅建設会社が実践する 「家計簿経営」』(プレジデント社刊)について。まずは「家計簿経営」とはどのようなものか、簡単にご説明いただければと思います。

西田:営業部や経理部など、社内の各部門ごとに、部門長が部門を経営していくというものです。

概念的には日本航空名誉会長の稲盛和夫さんが提唱している「アメーバ経営」と同じで、社内に小さなグループと作り、各グループが自分のグループを経営する意識で仕事をしてもらう。この目的は「市場に直結した部門別採算制度の確立」「経営者意識を持つ人材の育成」「全員参加経営の実現」の三つです。

――進和建設工業を長く経営されてきて、これまでに起こった経営上の課題と、それをどう克服してきたかについてお話をうかがいたいです。

西田:経営課題は常に「お客様の満足を追求すること」です。お客様をいかに自社のファンにするかを考え続けてきましたし、それはこれからも変わりません。

顧客が望むことを解決するのが私たちの仕事ですから、常に学んで顧客よりも先を走り続けなければいけません。

――経営者として、自分が率いる組織の慢心や気のゆるみを感じるのはどんな時ですか?また、その気のゆるみを感じた時、どのように組織を引き締めていますか?

西田:気がゆるんでいると感じることはあまりないですね……。ただあえて挙げるなら「チャレンジしていない時」でしょうか。

自分が成長する時は何かにチャレンジした時です。チャレンジをしなければ成長は止まり、その人は停滞してしまいます。

もし社員がチャレンジしていないなと思ったら、もう一度会社の理念に立ち返るように言いますね。会社のビジョンを共有することが第一だと思います。

――今の経営上の悩みはどのようなものですか?

西田:後継者の育成です。幹部の教育にしても、「家計簿経営」を支えるアメーバリーダーの育成にしても、これからの課題。自分の想いや考え、すべてを伝えていきたいです。

――従業員ひとりひとりが経営者感覚を持つことは、組織としても個人の働き方としても大切なことだと感じました。「家計簿経営」の取り組みを始める前と後で、社員にどんな変化がありましたか?

西田:まず、社員に「時間」、あるいは「時間当たりの採算性」の感覚が養われました。単に会社に来て仕事をするというのではなく、時間内にどれだけの成果を出すかという考えが全員に芽生えたように思います。

というのも、これまでは営業なら受注、工事なら完成出来高が「ゴール」だったわけですが、家計簿経営では自部門がどれだけ利益を出したかに目が生きますから、売上を自部門に分配したらいくらか、それに対して経費がいくらかかっているかという考える習慣がつくんです。そうなると、利益を最大化する方法も工夫して考えるようになる。社員一人ひとりの考えが経営者に近づいていきます。

もう一つはチームワークですね。今は会社という大きな組織の中の一員という感覚だったと思いますが、今はアメーバという小集団の一員という意識が強く、その中での連帯感を感じている人が多いのではないかと思います。

――また、「家計簿経営」とはどんな企業にも応用可能なのでしょうか。

西田:可能です。家計簿経営のいいところは、事業のかじ取りの感覚を持った社員を育てることです。そういう人材を育てたいというのは、どんな業種の経営者も同じですよね。

ただ、職場や会社によって風土の違いはあるでしょうから、全部門が幸せになるような独自のルールは設けるべきだと思います。導入したことで部門同士がケンカになるようなら意味がないですから。
(後編に続く)

中堅建設会社が実践する 「家計簿経営」

中堅建設会社が実践する 「家計簿経営」

「高収益事業」になるための第一歩は経営理念をつくることです。

しっかりとした経営理念があると、ビジョンが生まれてきます。幾つもの困難にぶつかるごとに経営者としての人格が磨かれ、理念への理解がより深まり、次第に「高収益事業」に近づいていきます。本書はそのための実践の仕方を解説しました。

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