だれかに話したくなる本の話

どんな大きな困難の中でも希望を持ち続けるための5つの「思考プロセス」

ちょっと失敗しただけでクヨクヨしてしまったり、否定されるのが嫌でアイデアを出すことができなかったり…。そうした一つ一つの積み重ねが、あなたからポジティブさを遠ざけている要因の一つかもしれない。
では、いつでもポジティブに挑戦するためにはどうすればいいのだろうか。

そのヒントを与えてくれる一冊の本がある。
『KEEP MOVING 限界を作らない生き方: 27歳で難病ALSになった僕が挑戦し続ける理由』(武藤将胤著、誠文堂新光社刊)である。

著者の武藤さんは、実は身体に大きな困難を抱えている。――ALS(筋萎縮性側索硬化症)だ。
4年前に流行したアイス・バケツ・チャレンジなどを通して認知が広まってきつつある難病で、先日亡くなったスティーブン・ホーキング博士やメジャーリーガーだったルー・ゲーリックが罹患していたことでも知られる。身体の筋肉が動かせなくなっていく、治療法が確立されていない病気である。

現在31歳の武藤さんは、広告代理店・博報堂に勤めていた26歳のときにALSを発症。その後、「ALSの認知・理解を広める」ために自ら一般社団法人「WITH ALS」を立ち上げ、フェスやライブ、スポーツ大会など様々なプロジェクトを主宰、ラジオのDJをも務めている。

それらは、彼の「好き」という感情と「ALSの理解を広める」という使命が混ざり合って生まれてきたものであり、今もなお邁進し続けている。なぜ武藤さんは「好き」を仕事にできているのだろうか?
本書には、武藤さんがいつも心がけている「5つのプロセス」がある

(1)Feeling 自分が本当に好きなことは何かを見つめてみる

(2)Finding (1)であげたものにどんな共通点があるのか考える。「なぜ好きなのか?」「好きなポイントは何か?」という視点でグループ分けをすると、自分の「好き」の傾向や、何に価値を感じる人間なのかに気付くはず

(3)Visioning 「好きなこと」をもっと楽しみ、深堀りしていくために、具体的な目標を立てる

(4)Researching 目標を達成するには何をすればいいのか。アンテナを張って情報を広げたり、視点を拡げて別の見方をしてみたり。自分の知っていることはほんの一部であると気付こう

(5)Moving 目標は達成できたなら、挑戦する前よりももっとそのことが好きになって、面白くなっているはず

自分の「好き」を突き詰めていき、深掘りをして挑戦する。
「好き」なことをやっているからこそ、ポジティブでいられる。困難と向き合いながらも楽しみながら限界を乗り越えていく原動力になっているのだ。

手が動かなくても大好きなDJやVJができるように、眼の動きで電子機器を操作する技術を応用して「EYE VDJ」を開発。初めて披露した際には音が出るまで30分もかかってしまったというが、眼の動かし方を一生懸命トレーニングした。

もともとファッションが好きで、大学時代には奇抜な服装で周囲の目を引きつけた。アメリカで「EYE VDJ」を披露したときに、アメリカ人から「おまえ本当にゲーリック病(ALSのこと)なのか? 信じられない。なんてクレイジーなやつなんだ!」と言われ、「めちゃくちゃうれしい」と喜んだ。

自分のやりたいことをするために、自分の使命を遂行するために、ただひたすら行動を続ける「クレイジー」な武藤さん

また、母親はそんな我が子のことを「スーパーポジティブ」と語る。
もし、今のふがいない自分を少し変えたいと思うのであれば、武藤さんの言葉は心に突き刺さるはずだ。ポジティブに行動した者のみが見渡せる世界の一端を見せてくれるだろう。

(新刊JP編集部)

KEEP MOVING 限界を作らない生き方: 27歳で難病ALSになった僕が挑戦し続ける理由

KEEP MOVING 限界を作らない生き方: 27歳で難病ALSになった僕が挑戦し続ける理由

メディアアーティスト・落合陽一氏も大推薦の一冊!

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