だれかに話したくなる本の話

真面目に頑張る人が報われる「人生のハイスコア」を目指すための考え方とは?

社会に出て働き始めると、ひとつの壁が現れる。頑張って働いても思い描いたようなライフスタイルの実現が遠くにあり、「世の中はこんなものか」と感じる理不尽さの壁だ。
地方のシステムエンジニアとして働き、25歳で起業の道を選んだ高崎圭悟氏も、そんな理不尽さを抱えてきた若者の一人だった。

彼を変えたのは、たった一つの出会い。自分で人生を切り開いている人との出会いから、小さい頃から大人たちに言われ続けてきた常識の多くは偏ったものだと知り、その後の人生は大きく変化した。

高崎氏が上梓した『ハイスコア 人生は最大限を目指すゲーム』(幻冬舎刊)は、頑張っても報われないと感じている、若い世代のビジネスパーソンに必要な仕事と人生の向き合い方について、力強いメッセージが込められている。
高崎氏が目指す「ハイスコア」とはなんなのか、そのために必要な考え方とはどういうものかのか、お話を伺った。

(取材・文:大村佑介)

■生まれ持った「使命」を全うして人生の「ハイスコア」を目指す

――タイトルの「ハイスコア」、この言葉の定義を改めて教えて下さい。

高崎圭悟氏(以下、高崎):「最大限の成果を叩きだすのが、人生の目指すべきところ」という意味なんですけど、「スコア」と「ナンバー」は違うものです。
スコア(得点)は、中身の詰まった価値ある数字かどうかをものすごく気にする考えです。
お金で言えば健全に努力をして、世の中の人の役に立って、ちゃんと価値の交換としてのお金をもらっている場合に限りスコア(得点)と言えます。要するに中身が伴っていることが重要。

ナンバー(数字)は、たとえズルしたりごまかしたりしても、紙面上のつじつまが合っていれば一緒でしょっていう考えです。中身のないドライなものがナンバー。
僕からすれば為替とか株とか仮想通貨とかのテクニカルな売り買いの結果っていうのはただの冷たい数字(ナンバー)。価値を感じません。スポーツで悪質なプレイをして得た点数なんかもナンバーですね。得点ではない。

お金だけじゃなくて、例えばキングコングの西野さんのオンラインサロンが、8000人を超えたっていうのはすごいですよね。西野さんの魅力に8000人集まっているっていう人数は、得点(スコア)だと思います。
「日雇いのバイトで雇って8000人集まりました~」ってのは、頭数だけのただのナンバーです。

――人生で「ハイスコア」を出すために必要なものはなんでしょうか?

高崎:人はみんな使命を持って、何かしら目的があってこの世に生まれてきていると思っているんです。その使命を全うするのが重要。使命は一人一人違ってよくて、ただ測れるってことは大事です。それが、結果とか実績となって現れると思っています。

というのは、「使命」は、世の中の人に、何か貢献、プラスのことをするためだと思うんです。
実際に貢献できているなら「必要とされている」ということで、ちゃんと使命を全うできていたら収入が上がるはずだし、豊かになるはず。使命を全うしてないと、時間もお金も、ライフスタイル全般が貧しくなると思っています。

――高崎さんご自身が使命にしていることは何ですか?

高崎:僕の使命は、世の中の人たちが、(仏教的な表現を使うなら)魂を磨くことをアシストすることと、それぞれが自分の使命をいち早く明確にして、それに時間を割けるようにすることだと思っています。だからまず飯を食うための仕事(ライスワーク)だけに時間を使うのではなく、自分の使命に使う時間を増やしましょうよと。
そもそも大前提として、全員共通の使命で、「魂を磨いていく」ってのがあるみたいです。たくさん試練を越えてステージを上げていくのが宿題みたいですよ。

――高崎さんが、人生の最高得点(ハイスコア)の指標にしているものはなんですか?

高崎:広い意味での「成果」です。
さっきの西野さんの話で言うと、西野さんは使命を生きてご自身を表現された結果、その魅力に集まった8000人という成果――得点(スコア)を出したと思うんです。

指標は自由なんですけど、「幸せだと思えば幸せじゃん」みたいな、そういうふわふわした感じではなくて。たとえば、「周りの人を少しでも笑顔にしたい」とかは、自分を甘く採点できちゃうじゃないですか。「馬鹿話で家族を笑わせたからよしとしよう」みたいな。それでは指標として抽象的です。

だから、定量的であるということが、自分を律する意味では大事かなと思っています。
「成果」って、「成長した結果」って書くじゃないですか。成果を見れば、どれだけ自分が成長したのかがわかるっていう考えが好きで、そこから目を背けてはならないと思っています。

■真面目に頑張る人が報われる世の中こそが「フェア」

――様々な人から、人生の「ハイスコア」を目指すことについての質問をされるかと思いますが、一番多く聞かれる質問はなんでしょうか?

高崎:1つめは「怖くなかったんですか」「不安はなかったんですか」というのと、2つめは「人はなかなか変われないじゃないですか」と聞かれることが多いです。

怖くなかったんですかの質問からいくと、不安はつきものなので「あるけど進む」っていうのが回答です。
今まで、新しい環境に身を置くときは必ず不安があったはずで、小学校から中学校、高校に行くときも、社会に出るときも、必ず不安でも進んできたと思うんです。

逆に、不安がゼロになったから進んだことって今までなかったはずなのに、なぜか「不安がゼロにならないと進めない」というロジックを握りしめているんですよね。それっておかしい。なんで今だけ不安があるから進めないって言い始めるのかということです。

「人ってなかなか変われないじゃないですか」というほうで言えば、人は簡単に変われないっていうのは思い込みだと思っています。
脳科学や心理学では、自分らしさというパーソナリティは、寝て起きるとまっさらになっているらしいんです。起きたときにロードしなおして、昨日までの「自分はこういう人間だ」というパーソナリティを、引き継いで今日も使っているだけ。

だから、自分のパーソナリティを握りしめるのが選択だったら、手放すのも選択できる。本当は昨日までの自分と今日の自分は同じである必要はないんですけど、昨日までの自分でいたほうが省エネなので、そうしているだけなんです。だから「人は一瞬で変われるんですよ」って言います。

――そうした質問をする人の考え方の根本的な問題は何であるとお考えですか?

「ラクしたい」ということだと思います。
これはザ・ブルーハーツの甲本ヒロトさんが言ってるんですが、「ラクと楽しいは逆だよ」と。ラクを選んだら楽しくはないし、楽しくしようと思ったらラクじゃないっていうトレードオフなので。僕は楽しいほうがいいので、ラクを諦めました。だからみんなには「ラクすることを諦めよう!」って言ってます。

――「努力が報われる世の中」が高崎さんの胸を熱くするキーワードとありましたが、努力が報われていない、理不尽だと感じるときはどんなときですか?

高崎:理不尽だと感じるのは、真面目に一生懸命やっている人よりも、うまくやっている人がいい思いをし、真面目にやっている人がバカを見るっていう状態です。
僕が20代、30代の人に会うと、とても純粋で、ハートがいい方だなと思うことがすごく多いんです。けど、頑張っても報われない仕組みで働いていることが多くて。

会社員時代に感じていたのは「頑張っても頑張んなくても一緒じゃん」ということでした。
具体的な例で言うと、僕は四年制の大学卒なんですが、大学院卒の同期がいたんですよ。歳は二個上で入社年度は一緒。でも、彼、ずっとサボってるんです(笑)。

自分で言ってしまいますが、僕は会社にだいぶ貢献していたほうだと思うんです。特許を取ったりしたし、プロジェクトも頑張っていたんですけど、彼はやる気もなくていつもサボッてる。でも、給料もボーナスも彼のほうが全然高くて「なんでだよ!」「こんなに頑張っているのに!」って(笑)。

そうなると、やる気なくしますよね。でも、起業家の方とお逢いして、初めて「頑張ったらよくなるんじゃん!」って実感したんですよ。頑張ったら頑張っただけ豊かになっていたので、「あ、頑張ったら報われるんじゃん!」ってすごいやる気が出て、救われた感じがしたんです。

だから、フェアであることに胸が熱くなるんです。フェアであるっていうのは、頑張っている人はハッピーになって、ラクしている人はアンハッピーでもしょうがないよねっていうことだと思うので。僕はそのフェアな状態を作り出すことに燃えています。

(後編に続く)

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この記事のライター

大村佑介

大村佑介

1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

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