だれかに話したくなる本の話

サメの寿命は謎だらけ?

「サメ=人食い」というイメージを持っている人は多いだろう。だが、500種類以上いるサメのなかで、人に危害を加えるサメはほんの数種類だという。

さらに、毎年1億匹のサメの命が乱獲や混獲などによって奪われている。全てのサメのうち、4分の1以上が絶滅のおそれがある絶滅危惧種、または近く絶滅のおそれがある種になる可能性が高い準絶滅危惧種に指定されている。

そんなサメの生態やおかれている状況を豊富な写真や図解で紹介しているのが『ミッション・サメ・レスキュー』(ルース・A マスグレイヴ著、ハーパーコリンズ・ ジャパン刊)だ。本書には、芸能界随一の生きもの大好き芸人、ココリコの田中直樹さんがシリーズ日本版に企画立案・企画監修として参加している。

気になるトピックとしては「サメの寿命」。実は、サメの研究者にとっての大きな謎が、サメの寿命だ。 魚類の年齢を知るためには、硬骨、歯、うろこを調べる。しかし、サメの骨は軟骨のため硬骨もなく、歯やうろこもどんどん新しいものに変わるから、サメの年齢を簡単に知る方法はないのだという。

現在、年齢を知るためにもっともよく知られている方法が、軟骨でできた背骨の断面から輪紋という骨につくられる層を数えることだ。ところが、サメは種によって成長の早さも違い、一つの輪紋が示す期間は1年かもしれないし、3年かもしれないので、研究者たちは今日もこの謎に取り組んでいるという。

ちなみに、映画『ジョーズ』のモデルになったホオジロザメは70年ほど生きると考えられている。また、ニシオンデンザメというサメが400年近く生きることが、最新の研究によってわかっている。

本書はナショナル ジオグラフィックの子ども向け書籍として刊行された「ミッション・アニマル・レスキュー」シリーズの第1巻。他にも、パンダ、ライオン、シロクマ、トラ、オオカミ、ゾウ、ウミガメと続いている。生き物好きなら合わせて読みたいシリーズだ。

(新刊JP編集部)

ミッション・サメ・レスキュー

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