新刊JPトップ > 特集 > 橋本 陽輔『社長が知らない 秘密の仕組み ~業種・商品関係なし! 絶対に結果が出る「黄金の法則」~』
  • 書籍情報
  • 社長が知らない 秘密の仕組み ~業種・商品関係なし! 絶対に結果が出る「黄金の法則」~
  • 著者:橋本 陽輔
  • 定価:¥1,470 (税込)
  • 出版社:ビジネス社
  • ISBN-10:4828414541
  • ISBN-13:978-4828414546
  • 発売日:2008/10/22

顧客ポートフォリオ・マネジメント理論

「顧客ポートフォリオ・マネジメント理論」における基本的な知識 (新刊ラジオより一部抜粋)

音で聞きたい方はコチラより新刊ラジオ第750回 『社長が知らない秘密の仕組み』

〈顧客ポートフォリオ理論〉では、まず顧客を五つの属性に分けるデータベース作りから始めます。 初めて自社の商品・サービスを買ってくれたお客様のことは〈初回客〉と呼びます。 二回目を買ってくれたお客様は〈よちよち客〉。 リピート客は購入金額によって<流行客とコツコツ客>に分類します。 そして、自社のファンと呼べるお客様は〈優良客〉として識別します。

顧客ポートフォリオ・マネジメント理論では、購入金額に〈在籍期間〉と〈離脱期間〉 を組み合わせ立体的に考えます。 〈在籍期間〉とは、新規客になった日から最後に買ってくれた日までの期間ということになります。 〈離脱期間〉とは、現在日から最終購入日を引いた期間です。 この二つの期間にいくつかの条件をつけ、それぞれのお客様が先ほどの五つのパターンの うちどこに当てはまるのかを見ていきます。

顧客ポートフォリオ・マネジメントをゲームに例えるなら、〈初回客百人でスタートして、 何人を優良客にゴールさせられたかを競いあう双六〉のようなものです。 いかに高い確率で、初回客→ヨチヨチ客→コツコツ客とコマを進め、210日間で優良客に 育てられるかというのが、顧客ポートフォリオ・マネジメントの真髄といえます。 そしてゲームをうまく運ぶためには、顧客層ごとの適切なアプローチや、 それぞれの特性を把握しておく事が重要です。 では、さらに各顧客層の特性を掘り下げていきましょう。」

♯1 初回客
 「〈初回客〉は初めて何かを購入してくれたお客様です。ただし初めてなので商品のことをよく知りません。 実際に手にとってみて、次に買うかどうかを決めます。 〈一度買って終わり〉というケースが最も多く、 つまり〈離脱客になる確率が最も高い顧客層〉であると言えます」

♯2 よちよち客
「90日の間に2回、もしくはそれ以上購入してくれたお客様です。 きっと初回購入後に満足が得られたのでしょう。でも油断は禁物。 よちよち客はまだ商品のことも、自社のこともよく分かっていないからです。 付き合いが浅いうちは心変わりも早いもの。初回客やよちよち客の〈購入金額〉を考慮しないのもそのためです」

♯3 流行客
「リピート客になってまだ90日以上210日未満の内に、 累積購入金額が7万円を超えているお客様です。 短い間にドーンと買ってくれたので非常に目立ちます。 派手なお客様というイメージもあります」

♯4 コツコツ客
「毎回の購入金額は少ないものの、長い間、安定してコツコツ買ってくれているお客様です。 本当に自社の商品が好きになってくれたのでしょう。しかし、累積購入金額が7万円に満たないことや、 派手に買い物をしてくれる流行客と比べると、地味で目立たないように感じます。 そのためフォローも怠りがちになります」

♯5 優良客
「長期間にわたって7万円以上購入してくれているお客様です。 〈売上の8割は顧客の2割が生み出している〉というパレートの法則がありますが、 優良客はまさにその2割に当たる人たち。つまり自社の〈ファン客〉です。 DMに対して最もレスポンス率が高いのもこの人たちなのです」

「さて、では〈流行客〉と〈コツコツ客〉、どちらを会社としてどちらを大事にするべきだと思いますか? 常識的に考えると、短期間に大量に買ってくれる流行客の方が、いいお客様でしょう。 しかし顧客ポートフォリオ・マネジメントでは、コツコツ客の方が大切だと考えます。

流行客は確かに目立つ買い方をします。 ですが、実際に買っているのはキャンペーン商品やバーゲン商品など、 〈お買い得のものやサービスに反応している人達〉だと分かります。 これはつまり、他社がもっと安い価格で売ったらそちらに乗り換えてしまう可能性があるということです。 〈いい話があれば飛びつく特性〉を持つ以上、不安定なお客様であることは否定できません。 不安定なお客様をたくさん作ってしまうと、ごっそり抜けた時に経営母体が揺らぐ可能性すらあるのです。

ではコツコツ客はどうでしょうか。 コツコツ客は地道に長く購入し続けるお客様なので、あまり目立つ事はありません。 しかし、この顧客層の方は〈商品が本当に好きだから〉〈会社が好きだから〉買っているので、 安売りキャンペーンなどには反応しないのです。 マイペースで長く付き合っていきたいという傾向が強いのです。 したがって離脱率が低く、時間はかかりますが最終的に〈優良客〉になっていただける可能性が高いと言う事です。

〈コツコツ客〉〈優良客〉は、商品の事をよく分かった上で、 さらに会社の姿勢やスタッフが好きだから買い続けてくれます。 心を通わせたコミュニケーションをとることで、確実に自社の〈ファン客〉を増やしていく事ができるのです。 コツコツ客こそ、自社にとって〈宝の山〉なのです」