だれかに話したくなる本の話

不安を感じやすい今 心が軽くなる無頼作家ブコウスキーの言葉

『パルプ』(筑摩書房刊)

これまでできていたことが制限されたり、社会全体に不安や恐怖が蔓延していたり、自分の生活がおびやかされたりした時、人が自信を持つのは難しい。これまで揺るぎなくあり、これからも揺らぐことはないと思っていた生活の足元が急激に不安定になっているのだから、無理もない。

そんな時は、視線を下げて、足元の方から社会を見上げてみてはどうだろう。
「もともと、人間の社会に確かなものなど何もなかったな」
「生活レベルが下がっても、生きてさえいればなんとかなる」
そんな風に思えたのなら、すこしは気持ちが楽になるかもしれない。

パルプ

パルプ

人生に見放され、酒と女に取り憑かれた超ダメ探偵が次々と奇妙な事件に巻き込まれる。伝説的カルト作家の遺作、待望の復刊!