だれかに話したくなる本の話

文章が苦手な人が知るべき「シンプルでわかりやすい文章」の正体

同僚や上司が書いた文書を見て「何が言いたいんだ、これ?」と思った経験は誰しもがあるはず。

これが文章の難しいところで、自分ではよく書けたと思っていても、相手からすると「何が言いたいのかさっぱり……」ということは少なからずある。うまい文章も美しい文章も必要ない、「伝えたいことが伝わればいい」という文章でさえ、こうなのだ。

■「シンプルな文章」の正体

簡単そうで難しく、そして「極意」めいたものが見つかりにくいのが文章だ。ただ、極意はないけれど、「ルール」はある。それさえ押さえておけば、最低限のメッセージは伝わる、というシンプルな約束事である。そんなルールを教えてくれるのが『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(藤吉豊、小川真理子著、日経BP刊)である。

たとえば、文章の書き方として「できるだけシンプルに」と教えられることがあるが、「シンプルに」というだけではかなり漠然としている。そもそも文章が苦手な人は「シンプルな文章」の正体がわからないから困っているのだ。

本書で挙げている「シンプルな文章の作り方」とは
・無駄な言葉を極力削る
・1文は60文字以内で
・ワンセンテンスにワンメッセージ
の3つ。ここまで具体的であれば、文章を書く時の「ルール」として機能するはずだ。

■まだ読んでいないのに読む気が失せる文章

また、多くの人が知らないのは、文章も「見た目」が大事という点だ。まだ一文字も読んでいないのに読む気が失せる文面は確かにある。

顕著なのは「文字がびっしりと詰まった文面」だろう。

その文が読みやすいか、読みにくいかは、中身を読まなくてもわかる。読みやすそうな本はワン・パラグラフが短く、白いスペースが多い(スティーブン・キング)

こんな言葉があるように、読む気にさせる文章にするには、文面全体を「画」として見た時の見た目も大切なのだ。伝えたい気持ちが強いほど、思いの丈をぶちまけて紙面を文字で埋め尽くしてしまいがちなもの。だが、本当に伝えたいのなら、やるべきことは逆だ。

■その接続詞は本当に正しいか?

文章をわかりやすくするうえで大切な役割を持っているのに、案外注意が行き届いていないのが「接続詞」だ。

接続詞を使うメリットは、「論理展開を追いやすくなる」「接続詞の後の文章を強調できる」など。ただ単に使えばいいわけではなく、構成上なくてもいいものは省くということも大切になる。

特に「だから」「それで」などの順接は、なくても意味が通じるケースが多いため、論文などを除く一般文書の場合は、やたら多用するのは避けた方がいい。自分が書いた文章に「だから」「それで」「なお」「したがって」などが頻出するようなら、それらを抜いて読み直してみよう。意味が通じるようなら、その接続詞は不要だったのかもしれない。

ここでは、『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』で取り上げられている文章術のルールのごくごく基本的なところを取り上げたが、本書をひもとけば、わかりやすい文章や伝わる文面を書くための、より多くの知見を得られるはず。

文章を書くスキルは一度身につけたら一生もの。ならば早いうちに身につけておくことのメリットは大きい。

(山田洋介/新刊JP編集部)

「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。

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山田洋介

1983年生まれのライター・編集者。使用言語は英・西・亜。インタビューを多く手掛ける。得意ジャンルは海外文学、中東情勢、郵政史、諜報史、野球、料理、洗濯、トイレ掃除、ゴミ出し。

Twitter:https://twitter.com/YMDYSK_bot

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