だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『極道ピンポン』遠藤徹著

提供: 本が好き!

なにしろ作者が、あの「姉飼」や「壊れた少女を拾ったので」を書いた遠藤徹氏。同志社大学の教授にして、ちょっと引いてしまうような内容の作品を書くことで知られた人物だ。きっとこの作品にもそんなところがあるのだろうと思っていたが、予想とはだいぶ違っていた。

 内容は、二つのヤクザ屋さん「東犬会」と「極(アストロ)☆!興業!」の出入りなのだが、その方法がなんと卓球なのである。ヤクザ屋さんの決めゼリフ?である、「タマとったろうか!」の「タマ」が卓球の球(ボール)という訳だ。ドスや拳銃を卓球ラケットに変えての出入り。こんな抗争なら平和でいいんだがと思う。ちなみに、「極(アストロ)☆!興業!」のアストロは、あの伝説の野球漫画から来ているようだ。

 とにかく登場人物がヘンな人たちばかりなのである。 誰もがかなりキャラが濃い。彼らを描いたクセの強いイラストも内容によくマッチしている。そのうえ、これでもか、これでもかと繰り出される小ネタギャグ。いったい、あのおどろおどろしい作風は、どこに行ったんだ?でも読んでいる間、大笑いしていたからいいんだけどね。ただ、作中に入っている映画の話、本当に必要なのだろうか。

 ところで、「東犬会」の連れてきた色っぽいチャイナドレスの姐さんと、「極(アストロ)☆!興業!」の受付嬢、なにかの伏線になっているような気がしたのだが、最後にあんなことになるとは。でもなんだか、ちょっといい感じ。 

 これが、本当にあの遠藤氏の作品なのか? おどろおどろしさよりは、いい意味でのアホらしさを感じる。

(レビュー:風竜胆)

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極道ピンポン

極道ピンポン

対立するヤクザの組が、ドスを卓球ラケットに持ち替えて、血で血を洗うカチコミ・ラリー。

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