だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『司書のお仕事―お探しの本は何ですか?』大橋崇行著

提供: 本が好き!

受付業務以外の図書館の司書の仕事について、分かりやすくライトノベルのように仕上げた一冊。
NDC分類に始まり、書籍選びのポイント、OPACなどレファレンスまで、図書館のお仕事を実に幅広く描いている。

新人司書の稲嶺双葉と先輩司書の山下麻美の会話を軸に、双葉の幼馴染みの星野祐樹の微妙な関係。なんとも甘いストーリーである。もちろん表紙も。見えるところに置いてあったら我が家の女子どもが手に取っていたので、それだけの魅力ある装丁。

図書館の本のNDC分類があることは知ってはいたが、利用者の利便を考えてどこの分類にするのか図書館員の裁量によるところもあるとのこと。YA (ヤングアダルト)に置くかについても。

第1章では、蔵書に挟まれたメモを手がかりに夫婦の絆を見つけるNDC分類を使用したストーリー。第2章は図書館のイベント企画。閉架の本棚など正に図書館の裏側が舞台。そして第3章はレファレンスサービスと他の図書館との連携。インターネットによる検索のできない広告など図面を追いかけひたすら本をめくる根性引きという言葉が面白かった。

予算の限られた図書館。利用者のリクエスト等からの購入図書選び、BLなどリクエストがあってもなかなか購入できないという。公共図書館と学校図書館では書籍の所有の目的が異なり、除籍期間も大きく異なることなど、とにかく新たな発見の連続でした。

難しい内容を少しでも分かりやすき伝えようという筆者、監修者の努力は素晴らしいと思う。どうにか本書を手に取った若者が、一人でも図書館に興味を持って、より多くの本を読んでもらえたら良いだろう。

本を読めば読むほどさらに読みたい本が増え、ホンゲル係数の上がるのが我らの宿命。それだけ図書館お利用も多いことだろう。

図書館の仕組みに触れられるこの本は、本好きにはたまりません。

(レビュー:臥煙

・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」

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司書のお仕事―お探しの本は何ですか?

司書のお仕事―お探しの本は何ですか?

新人司書さん奮闘記。今日もお仕事、お仕事…読めばわかる、司書の世界(ウラガワ)。

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