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言いたいことがキチンと伝わる説明力の基本 「言いたいことがキチンと伝わる説明力の基本」

[企画]ゆとり世代の「説明力不足」を叩き直す

ゆとり世代の「説明力不足」を叩き直す ≪第一回≫

短かった春も終わり、もう5月。
新入社員の皆さんもそろそろ仕事に慣れ始める頃だが、今年の新卒は世にいう「ゆとり」だ。 彼らの奇行の数々は既にあちらこちらで紹介されているとおり。 そして新刊JP編集部にもこの春、1人の「ゆとり」新人が配属された。

あだ名は「吉男」(よしお)。

この吉男、執筆は早いし目の付けどころもいいのだが、一つ難点がある。
他人に何かを説明することが極度に苦手なのだ。

例えば先日の企画会議の日…。

前日までに準備が終わらず、朝早くから編集部員は大忙し。

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「ネタ切れだー!もうダメだー!アイデアがなさすぎてぐうの音も出ないよー」

と、そこへ。
「おはようございまーす」

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その道の人かと思った。

どうした。何があった。

吉男「いやー、今日企画会議っていうもんで気合い入れてきたんですよ」
金井 「気合い入れるところ違うだろ…」
吉男「そういえば、企画書なんですけど」
金井「昨日山田に直してもらっていたやつ?」
吉男「金井さん、見てもらっていいですか?」

【企画タイトル】小説の出生地を行く
【企画の概要】
 文壇バー、文学賞選考を使う料亭、作家をカンヅメにするホテルなど、あまり知られていない「文学ゆかりの場所」をレポートし、紹介する。だから、その様子は2回でまとめる。

金井「・・・・??????」

「企画の趣旨」の文章そのままだと、残念ながら間違いなく企画会議は通らないだろう。 なぜなら、「面白い!」と思う前に文章の意味がわからない。

ビジネス文書は、読み手の理解力を期待してはいけない。 最初から内容が一目瞭然にわかるものでなくてはならないのだ。

吉男「うーん、どうすればいいですかね…」

まだ最初だし、緊張していたりはするのだろうが、 人に上手く説明が出来ないというのはかなり損。 説明には意外と時間がかかるし、仕事に慣れていけばいくほど、 誰かに何かを説明する機会は増えていく。

これは、早いうちに手を打たなければ…と危機感を持った編集部一同は、 『言いたいことがキチンと伝わる説明力の基本』 (工藤昌幸、松井寿夫/著、こう書房/刊)

「言いたいことがキチンと伝わる説明力の基本」書籍画像

を使って吉男の説明力不足を解消するために動き出した。

◆説明が上手くいくPoint 1:「主語と述語をはっきりさせる」

まず、説明ベタな人の典型的な特徴のひとつとしてあげられるのが 「主語と述語がしっかりと使えていない」ということ。今回の企画概要でも…。

文壇バー、文学賞選考の使う料亭、作家をカンヅメにするホテルなど、 あまり知られていない「文学ゆかりの場所」をレポートし、紹介してもらう。

金井「レポートし、紹介するって誰が?」
吉男「え?」

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この概要には「紹介する」という述語だけがあり、主語がない。 それをするのは編集部なのか、それとも誰かその道に詳しい人を セッティングするつもりなのだろうか。

この企画書の場合、「誰に紹介してもらうのか」によって記事のテイストも大きく変わるし、 伝えたいことも変わる。そういった点で認識の齟齬が生まれる。 正確に伝わるようにするには、主語をはっきりさせること。それがポイントである。

◆説明が上手くいくPoint 2:「助詞と接続詞を正しく使う」

続いて、出来ていないことが多いのが「助詞」「接続詞」だ。 助詞とは単語に付いて関係を表わしたり、対象を表わしたりする言葉の総称、 接続詞は前後の文脈の関係を表わす言葉だ。 吉男の企画書でも「?」が浮かぶところがいくつか見受けられる。

文壇バー、文学賞選考を使う料亭、作家をカンヅメにするホテルなど、 あまり知られていない「文学ゆかりの場所」をレポートし、紹介する。 だから、その様子を2回でまとめる。

金井「助詞を間違えているとやっぱり読みにくくなるけど、何処かわかる?」
吉男「うーん、何処でしょう」

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では、まずは助詞から。
「文学賞選考を使う料亭」、これだと文学賞選考が「モノ」扱いされてしまっている。 この場合、場所を使う目的を示す助詞が入らなければいけないため、 「を」ではなく「で」が妥当だろう。また、

続いて接続詞。
「紹介する。だから、その様子を」の部分は、ちょっとオイオイ(汗) と思ってしまうようなミスになっている。 「だから」の前後は理由と結論であるべきだが、ここではそうなっていない。 この場合は、さらに付け加えることを示す「そして」あたりが妥当となる。

まずはこの2つのポイントさえ押さえることができれば、 日本語として意味の通ったものになるし、格段にわかりやすくなるだろう。

【企画タイトル】小説の出生地を行く
【企画の概要】
 文芸を担当している編集者が文壇バー、文学賞選考で使う料亭、作家をカンヅメにするホテルなど、 あまり知られていない「文学ゆかりの場所」をレポート、紹介する。 そして、その様子を2回でまとめる。

少し変えるだけでこんなに変わった。

吉男「これで企画会議いけますかね」
金井「まあ、わからないけど、なんとかなるでしょ」

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この回の企画会議の結果、さらに詰めが必要ということになったが企画自体は好評だった。
『言いたいことがキチンと伝わる説明力の基本』第1章には、主語・述語や助詞・接続詞のトレーニングのほかに、ボキャブラリーを増やすためのトレーニングも載っているので、それでトレーニングしながら企画書を練りこんでいけばよい。

企画を褒められてやる気がみなぎっている吉男に山田が一言。

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山田「ところで明後日、街頭インタビューに行ってもらうから」
吉男「え?マジっすか」

さて、次回は超実践編!
街頭インタビューに向かった吉男を待ち受けていた現実は過酷なものだった! インタビューの趣旨を何も知らない通行人にどう説明するのか!?

(新刊JP編集部)


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