だれかに話したくなる本の話

小さな村を書くことで世界を書く ポルトガル文学の注目作家が語る創作の秘密

『ガルヴェイアスの犬』(新潮社刊)の著者、ジョゼ・ルイス・ペイショットさん

人口1000人ほどのポルトガルの田舎町・ガルヴェイアスにある日突然爆音が鳴り響き、巨大な物体が落ちてくる。以来、村は耐えがたい硫黄の匂いに包まれることになった。この事件の後も一見変わらないように見える村人たちの日常。その様子を、村の犬たちはじっと見つめる。

現代ポルトガル文学の代表的作家・ジョゼ・ルイス・ペイショット氏初めての邦訳作品『ガルヴェイアスの犬』(新潮社刊)の話である。ポルトガルに実在する土地を舞台に、村人たちの語りや記憶が積み重なり一つの大きな像を結ぶ。豊かで人間臭く、そしてどこか懐かしさも感じさせるこの作品について、11月に来日したペイショット氏にお話をうかがった。 (インタビュー・記事/山田洋介)

ガルヴェイアスの犬

ガルヴェイアスの犬

巨大な物体が落ちてきて以来、村はすっかり変わってしまった――。ポルトガルの傑作長篇。ある日、ポルトガルの小さな村に、巨大な物体が落ちてきた。異様な匂いを放つその物体のことを、人々はやがて忘れてしまったが、犬たちだけは覚えていた――。村人たちの無数の物語が織り成す、にぎやかで風変わりな黙示録。デビュー長篇でサラマーゴ賞を受賞し「恐るべき新人」と絶賛された作家の代表作。オセアノス賞受賞。