革命対談
インタビュー

上田 「韓国に行かれるまでは日本で日本人として過ごされてきたわけですよね」

姜 「自分の周りの環境は必ずしもそうではなかったのですが、やはり学校での時間を生きるということは、完全に日本社会の支配的な価値の中で生きるわけですよね」

上田 「今日は政治学者の姜尚中さんをお迎えしています。姜さん、どうぞよろしくお願いします」
「どうぞよろしく」
上田 「この『革命対談』の冒頭で毎回お聞きしている質問があるのですが、それが“姜尚中さんはいつから姜尚中になったのか”という質問なんです。要するに、姜さん自身のターニング・ポイントということなのですが」
「やはり、二十歳の時の夏休みに初めて自分の祖父の国である韓国に行ったことでしょうね。1970年のお話ですが、その時にはまだ上田さんは地上にいなかったでしょう?」
上田 「そうですね、私は(笑)」
「その時に出会ったもの、それは今からいうと第三世界的な状況で、今の韓国の韓流ブームとはおよそかけ離れた世界でした。日本でいうと1950年代後半くらいの状況でしたね。

そこで様々な人と出会い、自分自身が変わりましたね。僕はそれを“革命”と呼ばずに“コペルニクス的転換”と呼んでいましたが(笑)」
上田 「なるほど(笑)」
「“コペ転”ですね。天動説から地動説に変わったような内心の変化がありました」
上田 「韓国に行かれるまでは日本で日本人として過ごされてきたわけですよね」
「自分の周りの環境は必ずしもそうではなかったのですが、やはり学校での時間を生きるということは、完全に日本社会の支配的な価値の中で生きるわけです。

でも家に帰るとそうではない父母がいて周りの人々がいて…、そうすると価値観のぶつかる場面にいつも出会うんですね。それはなかなか多くの人が体験できないことで、常に価値の相克がありましたね。

そういう時間を常に意識しながら生きていたと思います」
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